金融商品のリスク その1“リスクとリターン”
金融商品には、必ず「リスク」が伴います。「リスク」とは、一般的には「危険」「避けるべき」と考えられていますが、金融の世界では、「リスク」は「不確実性」のことを指しており、期待したリターン(収益)が予想を上回ったり下回ったりする可能性があることを意味します。
リスクとリターンには、密接な関係があります。リスクが低ければ、その分、リターンが低くなり、高いリターンを望めば、その分リスクも高くなります。
元本割れを避けたいと考えている人であれば、リスクが少ない金融商品が適しています。一方、高いリターンを望む人は、リスクの高い商品を選ぶということになります。
自分のリスクに対する考え方によって、選択する金融商品が変わってきます。
金融商品のリスク その2“リスクの種類”
金融商品のリスクには、大きく分けると、「信用リスク」「価格変動リスク」「為替変動リスク」「カントリーリスク」などがあります。
信用リスク
株式や債券などを発行している会社が経営状態の悪化や経営破たんなどにより、金融商品に投資した元本や、利子の支払いが滞ったりするリスクのことをいいます。
信用度を判断する材料として、「格付け」という制度があります。これは、元利金支払いの確実性を格付け会社が評価し、それをランク付けしたものです。
価格変動リスク
価格が変動する金融商品は、売却したときの受取金額が当初支払った金額を、上回る場合もあれば下回る場合もあります。価格が変動する代表的な商品として、株式があります。
また、複数の投資家から集めた資金を、株式や債券などに分散して投資し、運用される投資信託も、組入れている金融商品の価格変動の影響を受けます。
為替変動リスク
外国の通貨で取引される外貨建ての金融商品は、外国為替レート(日本円と外国通貨との交換割合等)の変動による影響を受けます。
購入時より円高になると、円での手取り額が減り、その度合いによっては、利子や配当分を帳消しにして元本割れになることもあります。逆に円安になると、円での手取り額が増え、為替差益も得ることができます。
カントリーリスク
投資の対象を海外に広げた場合、対象とする国の政治情勢や経済状況の変化などにも注意が必要です。国ごとの信用リスクを評価するひとつの基準として、内外の格付け会社や調査会社などから発表される「カントリーリスク情報」があります。
金融商品のリスク その3“リスクを分散する”
投資の世界では、「一つのカゴに卵を盛るな」という格言があります。これは、カゴを落とすと卵が全部割れてしまうので、その危険を分散して避けるという意味です。分散投資(資金を分散して投資すること)には、投資資産全体のリスクを小さくする効果があります。
一つの金融商品に集中して投資した場合には、その金融商品の価値が大きく目減りした場合、損失が大きくなってしまいます。
金利や為替の変動などに対して異なる値動きをする金融商品を組み合わせたりすることによって、リスクを小さくすることができます。
また、投資を一度に行うのではなく、投資する時期を何度かにわけて時間分散することにより、投資するタイミングを外してしまうなどのリスクを回避することができます。
例えば、一カ月ごとに一万円ずつ、株式や投資信託などに積立投資するなど、投資する時期を分けることにより、投資するタイミングによるリスクを小さくすることができます。
(日本証券業協会ウェブサイトより転載)